帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
飯の炊き方による養生とは?(※写真はイメージ)
飯の炊き方による養生とは?(※写真はイメージ)

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。貝原益軒の『養生訓』を元に自身の“養生訓”を明かす。

*  *  *

【貝原益軒養生訓】(巻第三の5)
飯を炊(かし)ぐに法多(ほうおお)し。たきぼしは壮実なる人に宜し。
ふたたびいいは積聚気滞(しゃくじゅきたい)ある人に宜し。
湯取飯(ゆとりいい)は脾胃(ひい)虚弱の人に宜し。

 すでに述べたように(11月17日号)益軒は養生訓のなかで「飯はよく人をやしなひ、又よく人を害す。故に飯はことに多食すべからず」(巻第三の11)と、ご飯を多く食べないようにいましめています。その一方で、炊き方別に詳しく語っています。ご飯の炊き方がこんなにいろいろあるとは、私も知りませんでした。

【1】たきぼし(炊干し)…釜で炊いた飯。ひめいい(姫飯)。
【2】こわいい(強飯)…甑(こしき)で蒸した飯。
【3】ふたたびいい…一度炊き、もう一度水を加えて煮た飯。ふたたびめし(二度飯)。
【4】ゆとりいい(湯取飯)…水を多く入れて炊いた後、その湯汁を取り去り、再び蒸した飯。ゆとりめし。

 益軒は、この炊き方別にこう語ります。

「たきぼしは壮健の人によく、ふたたびいいは胃けいれんを起こした人向き、ゆとりいいは消化管機能の低下した人によい。総じて粘って糊のようになった飯は気をふさいでよくないし、硬すぎるのは消化によくない。さらに米の性質でいうと、新米の飯は虚弱体質の人によくない。また稲の中で早く開花、結実、成熟する、いわゆるわせ(早稲)は、気の流れをゆり動かすので、病人にはよくない。反対におくて(晩稲)は性分が軽いから病人にもいい」(巻第三の5)

 益軒の見解がいまの医学から妥当なのかは別として、このように事細かに飯の違いと健康との関係を言及しているところは、感服してしまいます。食べ過ぎはいけないが、やはりあくまでご飯が主食という位置づけなのでしょう。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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