お気に入りのキャットウォークでくつろぐ田辺家のポップ。下から肉球が見えるように強化ガラス板を使用(撮影/写真部・岸本絢)
お気に入りのキャットウォークでくつろぐ田辺家のポップ。下から肉球が見えるように強化ガラス板を使用(撮影/写真部・岸本絢)

 愛の室内飼育が推奨されて久しい。一日中、家の中で過ごすことになった“大切な家族の一員”を快適な環境で生活させたいと、猫のための家づくりをする人が増えている。そこには、猫が喜ぶ部屋をつくる際に、参考になる工夫がいっぱいだ。

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★千葉県浦安市 田辺邸
設計は猫の総合コンサルタントを業務としているネコアイ。代表の清水満さんは大の猫好きで、習性を知り尽くした“猫の一級建築士”。

 3匹の猫と暮らす田辺さん一家が新築の建売住宅に引っ越したのは今年の春。それを機会に、愛猫たちにも快適な家にしたいと、後付け工事でのリフォームを実施した。

 近所の保護猫カフェで紹介された“猫の一級建築士”の清水満さんは、事前に飼い猫の年齢や運動能力、飼い主や猫同士の関係性まで聞き取り調査をしてプラン設計。テレビ台の後ろの階段や、18畳あるリビングをぐるりと一周するキャットウォークをはじめ、猫が落ち着く狭いスペースもふんだんに取り入れた。

「リフォームしてからは、とにかく猫たちが動き回るようになり、肥満が自然と解消され、健康になった。何より、部屋を歩いていて猫に足がぶつかる心配がなくなり、私自身のストレスがなくなってよかったですね」(田辺さん)

★千葉県柏市 坂口邸
設計・監理はリオタデザインの関本竜太さん。最大の工夫は、1階、2階、ロフトを猫が自由に上下動できるようにした吹き抜け

 人間でいうと88歳に相当するラムネと、雨の日にボロボロになって坂口家にやってきたコロン。猫のことで近所に迷惑はかけたくないとの思いから、2015年の引っ越しを機に、猫が快適な家づくりに着手した。

 野良だったコロンが家の中を走り回れるようにと、1階からロフトまでの吹き抜けスペースを生かした、猫が立体的に遊べる家が完成した。

「帰宅するときに外から見上げると、2階の出窓の日だまりに座ってこちらを見ていたのに、玄関を開けると、もうそこで待っている。引っ越して新たにわかったかわいい一面でした。十分に運動できるからか、無駄鳴きもなくなりました。猫たちのほうが、私たちよりこの家を住みこなしていると思います(笑)」(坂口さん)

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