あべ:悪い頑固は、直すようにしたいです。

竹山:芸人ということで言うと、20代からずっとやっている人で40歳を過ぎてもまだ売れていませんっていう人が俺の周りにもけっこういるんです。そういう人たちには悪い頑固が多い。生き方は人それぞれ自由だけれども、けん太君もこれからどんどん売れていきたいと思うなら対応力をつけていかないとね。

あべ:僕は本の中で、毎日楽しいってことだけじゃなくて、こういうことに怒ってるんだっていうのも書きました。去年の相模原の事件(障害者施設「津久井やまゆり園」で元職員が19人を刺殺した大量殺人事件)はほんと許せないです。犯人の男は「障害者なんかいらない」って考えていたんですよ。障害者だって毎日頑張って楽しくやってるんだ、ふざけんじゃねえよって僕は言いたくて。あの事件をどう思いましたか。

竹山:もちろん絶対にあってはいけない事件なんだけど、あれはモンスターみたいな男による特殊なケースではありますよね。ただああいう人間が障害者施設に雇われていたという社会の構造上の問題もあるはず。それだけ働く人がいないとか、給与体系はどうなっているんだとか。そういうこともみんなで見直して、作り直していかなくちゃいけない時期なんだと思います。

あべ:テレビでももっともっと報道してほしいと僕は思います。

竹山:障害に対する考え方って、テレビの責任もあるけれど、長いこと触らずにきたことでずっと偏ったまんまという部分がありますよね。俺やけん太君が出させてもらっている「バリバラ」みたいな番組が出てきて少しずつ流れが変わりつつある。けん太君みたいなしゃべれる当事者がもっと表に出てガンガン主張していけばいいと思います。

あべ:はい、いっぱいテレビに出て、いっぱいしゃべりたいです。

竹山:障害というと昔から、敬いましょう、手伝いましょうという教育でずっときてるけど、そういうことだけじゃないんだっていうことをこれから何年もかけて伝えていくしかないと思う。けん太君にはその役割があるんじゃないですか。

あべ:わかりました。竹山さんともっと共演もしたいんでよろしくお願いします。

竹山:ははは。いや、だからそこはけん太君が努力するしかないんだけどね。

(構成/日野 淳)

週刊朝日  2017年12月8日号