「昔ながらの銭湯は色んな情報が集まります。旅行では地元の方と湯船につかりながら、『この辺でオススメの場所はどこですか、おいしい店はどこですか』と聞く。ガイドブックにはない情報を知ることができます」

 銭湯への愛を熱く語ったステファニーさんだが、「銭湯が減っています。東京では月に数軒は無くなっているんじゃないでしょうか」と危機感を持つ。東京都によると、17年9月末現在で東京都内の公衆浴場は572軒。10年前の923軒と比べて半分近くになった。都の担当者は「内風呂が普及してきたことや、後継者不足、施設の老朽化などが主な要因です」という。

 ファンを広げようと一部の銭湯は、演奏会や落語会、トークショーなどを開いている。今回の会場となった大黒湯も、写真家の蜷川実花や初音ミクとのコラボイベントを開催している。

「銭湯ごとにストーリーがあります。建物だったり、絵だったり、オーナーさんのこだわりだったり。私も銭湯文化のためにSNSで発信していきます」

 最後まで銭湯へのあふれる愛を語るステファニーさん。任期は無いという銭湯大使として、これからも世界に素晴らしさを伝えてくれそうだ。(本誌・大塚淳史)

※週刊朝日オンライン限定記事