ライブで演奏するジューシィ・フルーツのイリアさんら=所属事務所提供
ライブで演奏するジューシィ・フルーツのイリアさんら=所属事務所提供

 1980年代初頭、「ジェニーはご機嫌ななめ」や「恋はベンチシート」などの曲で人気を集めたバンド、ジューシィ・フルーツが、来年2月、34年ぶりにニューアルバム(ビクターエンタテインメント)を発売する。

 近田春夫のバックバンドのメンバーで結成された4人組で、近田がプロデュース。ボーカルとギターのイリアがウィスパーボイスで歌うデビュー曲「ジェニーは~」は、大ヒットした。

 84年に解散したが、2009年からライブを中心に活動を再開していた。ニューアルバムには近田が新曲を書き下ろす。

 人気ラジオ番組「セイ!ヤング」のDJをつとめたコラムニストの橋本テツヤさんが当時を振り返る。

「女性ギタリストがメインというのが当時は珍しかった。テクノポップなどが人気だった流れもあって受け入れられた。アイドルのようにとらえられ、一部のファン以外には、一時的に売れたバンドという印象かもしれません」

 時代を先取りしたサウンドは色あせておらず、Perfumeをはじめ様々なアーティストにカバーされている。11年には、イリアとボーカロイド・初音ミクが「ジェニーは~」をデュエットするというコラボも実現した。音楽評論家の山崎智之さんは、「高度経済成長期も終わり、ポップでチープ、キッチュなものが求められた時代を象徴するグループでした。ハイテクノロジーの中での魅力は、現代のボカロに共通する部分があるのかもしれません。保守本流を心得たうえで新しいことをやっていたので、あだ花ではなく、また新作に注目が集まるのだと思います」

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