肝は全身に血を巡らす調整もしている。肝の調子が悪くなると、「気」が上昇し、イライラし、その熱が目に行くと、「ドライアイ」の原因になるという。

 目─肝─足首の関係性はわかったが、自宅でお灸をするのは簡単ではない。誰もが実践できるセルフケアの方法を聞いた。

「足の親指を押し、足首をよく回しましょう」(同)

 足の親指の爪の付け根にあるツボ(人さし指側)を押す。なかなか足首が回せないという高齢者は無理をしなくてもいい。

「足首を上下に動かすだけでもいいのです」(同)

 もちろん、目の周りのケアも有効だ。血行・血流改善は眼病対策になるだけでなく、美容にも良い。目の下のクマやくすみ予防にもなるからだ。

「目を温めるのに効果があるのは、くるみ灸。半分に割って水に浸したくるみを目の上にのせ、その上にもぐさをのせて火をつけるものです。スチームが眼精疲労の回復に効くのです」

 くるみ灸はプロに任せた方が安全だが、自宅でできる「温活」もオススメだ。タオルを濡らして電子レンジで熱した「ホットタオル」で目の全体を温めたり、市販の蒸気浴のアイマスクを使ったりしてみよう。

 その際、眉を刺激するとより高い効果が期待できる。眉毛には内側から外側に向けて三つのツボがあり、疲れ目に有効だからだ。ホットタオルの上から眉毛をつまむとよい。

 また、首を軽くもんだり、後頭部の髪の生え際、首の中心部にある「天柱」というツボをよくもむのも有効だ。

 準備不要で空いた時間にすぐにできるのが「眉毛もみ」。眉の上下をつまんで、眉の内側から外側に、3回ほど引っ張れば十分だ(写真左)。ほか、眼窩に指を入れてじっくり押す(写真右)のも効く。

「眼窩を押すのは、考えているふりっぽい(笑)ので、仕事中にぜひ。親指で下から上に押し上げるイメージです」(同)

 目の健康は、心の健康や睡眠にも関係することも注目されている。

 坪田医師が世話人を務める「ドライアイ研究会」が2014年3月に発表した調査結果によれば、ドライアイの症状が重くなるほど、幸福度が低下。やはり、心の状態と目は関連があるようだ。さらに、ドライアイであると睡眠の質が低下していることもわかった。ドライアイは目の症状だけでなく心や全身の状態とも関係することが明らかになってきている。

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