北海道の江差、函館両信用金庫が合併してできた「道南うみ街信用金庫」(本店・江差町)の本店玄関での除幕式=1月(c)朝日新聞社
北海道の江差、函館両信用金庫が合併してできた「道南うみ街信用金庫」(本店・江差町)の本店玄関での除幕式=1月(c)朝日新聞社
兵庫県内の信金預金量(週刊朝日 2017年11月17日号より)
兵庫県内の信金預金量(週刊朝日 2017年11月17日号より)
北海道内の信金預金量(週刊朝日 2017年11月17日号より)
北海道内の信金預金量(週刊朝日 2017年11月17日号より)

 人口が減り超低金利も続くなか、地域金融機関の経営環境は一層厳しくなっている。各地で再編観測が絶えないが、『地方銀行消滅』の著者、津田倫男氏は、「ここにきて地銀より信用金庫の動きが注目される」という。なぜ今、信金なのか。どこまで集約されるのか。大胆予測してもらった。

【図】兵庫県内の信金預金量

 津田氏は昨年9月に出した『地方銀行消滅』(朝日新書)の中で、現在、105ある地銀、第二地銀は、大手信金も巻き込んで20から30のグループに再編・統合されると予測した。

「その考えは今も変わっていません。事実、今年に入ってからは、三重で三重銀行と第三銀行が、新潟では第四銀行と北越銀行が、それぞれ経営統合で合意しました。新潟の経営統合は半年間、延期になってしまいましたが、金融激戦区での信金の具体的な動きを見ていると、信金再編のほうが同時並行か、場合によっては先行するのではないかと考えるようになりました」

 津田氏が指摘するのは、数多くの信金がひしめく静岡県と北海道の動きをさす。

 9月1日、静岡で二つの合併が発表された。県内トップの浜松信金が磐田信金と、同2位のしずおか信金が焼津信金と、それぞれ合併する組み合わせである。県内には信金が12あるから、3分の1にあたる4金庫が絡んでいたことになる。

 道内に信金が23あった北海道では、今年1月に道南の江差信金と函館信金が合併して「道南うみ街信金」が誕生した。来年1月には道内3位の札幌信金が近隣の北海信金、小樽信金と合併し、「北海道信金」が生まれる。北海道信金は預金量が1兆円を突破し道内トップとなり、地域の金融地図が塗り替わる。

 このほか宮崎県でも、来年1月に宮崎信金と都城信金が合併することが決まっている。

 津田氏によると、地銀側の再編が「しばしの休憩」を余儀なくされていることも、信金の動きを目立たせるという。九州で大手地銀のふくおかフィナンシャルグループ(FG)と長崎県トップの十八銀行との経営統合計画が、7月に再延期を迫られてしまったことだ。ふくおかFGの傘下には長崎2位の親和銀行があり、十八銀行と統合すると県内の貸し出しシェアが7割に達してしまうため、公正取引委員会が「十分な競争が働かなくなる」とストップをかけたのだ。

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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