焦点になるのは金融激戦区だとし、基本公式で動きが読めそうな激戦区があるという。
「例えば、兵庫県です。ここは、これまでほとんど再編が行われてきませんでした。現有勢力を見ると、県内に11ある信金のうち六つが播州地方にかたまっています。明石市の日新、加古川市の但陽、宍粟市の西兵庫、そして姫路市には播州、姫路、兵庫と三つの信金があります」
1975年以降の40年余りで調べると、神戸市や阪神工業地帯を抱える大きな県なのに、合併事例は4例だ。最後は94年(合併信金はその後、経営破綻[はたん])だから、もう20年以上、動きがない。
信金同士の競争に加えて、兵庫では地銀の動向も信金再編に影響を与えそうだ。
りそなホールディングス系の近畿大阪銀行と三井住友FG系の関西アーバン銀行、みなと銀行の3行が、18年4月に中間持ち株会社「関西みらいFG」のもとで経営統合する。事実上、りそなが三井住友系の2行を買い取った格好だ。
「兵庫が地盤のみなと銀行は『親』が変わって県内で攻勢をかけてくるとみます。すると、信金側はこれに対抗しなければならず、播州地方を軸に再編が浮上することが考えられます」
四方が海で隔てられている北海道も、札幌、小樽、北海の3金庫合併で北海道信金ができても道内にはなお20の信金が残るため、津田氏は再編が続きそうだという。
「焦点は道内トップの座を奪われる旭川信金なのですが、ここは経営トップが『再編は考えない』と公言しています。旭川が動かないと、現在2位の帯広信金も動かなくてすむ。となると道は二つで、北海道信金がさらなる規模拡大を狙って周辺信金を統合していくか、あるいは、そうした圧力を感じることなどで道南うみ街のように小さい信金同士が合併するか、でしょう」
信金が合併で狙うのは、まずは店舗の統廃合を含めた効率化だ。北海道信金は、「3庫合わせると店舗は88あり、合併当初はいじらないが、2~3年をめどに店舗を含めて効率化を進めていく」としている。道南うみ街信金も、「函館市内の店舗数を含めて考えたい。3年ぐらいで合併効果を出していきたい」。
また、旭川信金は、「自治体と連携して地域を活性化させるのが我々の最大の使命。それには再編は必要ありません」と、改めて再編を否定した。(本誌・首藤由之)
※週刊朝日 2017年11月17日号より抜粋