多くの証券会社や銀行がファンドラップを扱っているが、主要プレーヤーは純資産総額約2兆1千億円を誇る野村証券を筆頭に、大和証券、SMBC日興証券、三井住友信託銀行の4社だ。

 最低金額は300万円や500万円に設定しているケースが多い。国内外の株や債券などに投資する様々な投資信託を組み合わせて、国際分散投資をしてくれる。預ける前に投資についての経験や、どこまで損失に耐えられるかなどのアンケートを行い、それに基づいて資産配分が決まる。リスクが低いものから高いものまで、複数のコースが用意されている。コースによって価格の振れ幅が違い、運用環境が悪いと元本割れもありうるが、逆に現在のように世界経済が好調だと預貯金より有利な年数%かそれ以上の利回りを得られる可能性がある。退職金の運用をファンドラップで始めるケースが多いという。

 運用を任せる分、手数料はかかる。

 楽天証券経済研究所のファンドアナリスト、篠田尚子氏が言う。

「運用を任せるためファンドラップは初心者向けの商品と思われがちですが、そうとは限りません。いろいろ経験したうえで『お任せ』にたどり着く人もいるし、趣味の範囲で個別株投資をやりつつ、コアな資産は『お任せ』でいいという人もいます。でも、やはり初心者が利用しやすい商品ではあります。資産運用を検討したが、やっぱり難しいとなった時にたどり着く商品だからです。私は『最後の砦(とりで)』と言っています」

 売る側からすれば「最後の砦」だが、逆に買う側から見れば「最初の門」になりやすい。

 新規参入のりそなは、初心者が運用の第一歩を踏み出せるように徹底的にこだわったという。信託ビジネス部の田中茂雄グループリーダーが言う。

「りそなのお客さまで投資性商品の経験がある方は、全体の5%にすぎません。りそなで投信を買った人10万人分のデータを調べたところ、所有本数が複数あり、保有期間が長い人が高いリターンを上げていることがわかりました。中長期、分散投資の有効性が改めて実証されたので、より多くのお客さまに運用のメリットを享受してもらおうと、ファンドラップにいきつきました」

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