業界最大手の「タイムズカープラス」の場合、月額基本料金は1030円。コンパクトカーなどのベーシック利用料金は15分206円。駐車場代やガソリン代、保険料といった維持費はかからない。仮に毎日1時間使うとしても、月2万5千円くらいですむ。

 運営する「タイムズ24」によると、今年9月に佐賀県でサービスを始め、全都道府県で展開している。今の車両台数は約2万台で、2020年には3万台まで増やす方針だ。

「台数を増やして利便性を高め、市場を成長させていきたい」(広報担当者)

 長距離を走るなら、カーシェアよりもレンタカーが有利な場合もある。好きな時間に出発・返却できる24時間の営業所も増えてきた。街中の移動なら「自転車」という手もある。車を手放して積極的に歩くようにすれば、足腰が強くなり、高齢者にとっては認知症の予防にもつながる。

 それでも地方では、マイカーを手放せない人もいる。山崎さんは普通車にこだわらず、税金や保険料、消耗品代などが安い軽自動車をすすめる。

「普通車と比べても、性能や耐用年数に大きな差はない。私も乗っているが、小回りもきいて運転しやすい。1台目は普通車、2台目は軽という家庭も多いが、両方とも軽にすれば維持費をかなり抑えられる」

 車も高いが、人生で一番大きな買い物といえば、やはり家だろう。日本では土地は安定した資産だという「土地神話」が、長らく続いてきた。家を持てば将来値上がりが見込めるとして、資産形成の手段になった。都心から離れても「庭付き一戸建て」が庶民の夢だった。東京の多摩ニュータウンや大阪の千里ニュータウンなど、各地に街が生まれた。

 ところが1990年代初めのバブル崩壊で神話は崩れた。少子高齢化や住宅の供給増によって、今や全国的に空き家が目立つようになっている。高くても新築が好まれるため、いったん空き家になった家は買い手がつきにくい。

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