妻:出会ったころとは大違い。あのころはとんがってて「世の中に俺より偉いヤツはいない!」ってタイプでしたから。

――夫は病気後、お酒をきっぱりやめた。だが昔から変わらないこともある。饒舌さもそのひとつだ。

妻:この人の爆裂トーク、すごいでしょう? 昔はもっとすごかったんですよ。私も子どもたちもうんざりしてるのに、まったく平気。リビングで家族を相手に散々しゃべって、最後に「あ~よくしゃべった!」って言いながら部屋を出ていくんですから!

夫:「あ~あ、しゃべり疲れた」ってね。

妻:ケンカもしょっちゅうです。私が出ていったこともあった。子どもたちと1晩だけホテルに泊まって、それでおしまい。いちいち言い返すのも、もう面倒なので、私は心のなかでブツブツ言うんです。

夫:言わないのはよくないんですよ。僕は「なんでも話して解決する!」っていうタイプだから。

妻:でも食に関しては私がうるさく教育しました。最初、彼は食べることにまったく興味がなかったんです。家でステーキを焼いて出したんですけど、切ると赤い肉汁が出るでしょう? それを「うわぁあ」ってティッシュでぬぐってた(笑)。最近ではパンでぬぐってきれいに食べるよね。

夫:レストランでも「焼き加減がいまいちかな。調理場をちょっと貸してくれたらいいのに」とか。

妻:「いいから黙って食べなさい!」って言うの。

――まるで掛け合い漫才のような仲の良さ。昨年から料理の道に進んだ次女も会社に参加し、ますますチーム力が高まった。

夫:いままで彼女の仕事や活躍にまるっきり嫉妬しなかったと言ったらうそになる。でもそんな思い以上に、彼女の実力は素晴らしいと思ったんです。そしてそれ以上に、僕のサポートが素晴らしい!

妻:ほらね。結局、いつも、この人はこれなんです(笑)。

週刊朝日 2017年9月29日号より抜粋