妻:ほう。
夫:おやじ、それでコロッと変わって。電話してきて「おう、お前、がんばっとるらしいやないか」。
妻:あはははは!
夫:とはいえ、文学座の正座員にはなれず。なかなか順調ではなかったですね。親の心配どおり、食えなくて食えなくて。
妻:私の親も反対こそしなかったけど、まさかデビューできるとは思ってなかったみたい。中学3年生の時に、ホリプロのオーディションを受けたんです。母親に付き添ってもらってね。家を出るときも父親に「すぐ帰って来るからね」なんて。どうせ落ちると思ってたんでしょ。
夫:それがアイドルデビューして、自慢の娘になっちゃったんだよな(笑)。
――出会いはつかこうへい事務所制作の舞台。厳しい演出で緊張する日々を共に乗り切った同志だった。
妻:俵万智さん原作の「二分の一秒 笑顔をとめて」っていう書き下ろし作品だったんです。
夫:僕がカメラマンの役で、彼女がその恋人。
妻:セリフは練習しながら作っていくんですよ。その場で決まっていくから、一瞬たりとも気が抜けない。
夫:覚えられないとどんどんカットされちゃうから、みんな必死でしたね。
妻:共演したのは、後にも先にもこのときだけ。
夫:彼女のことは知らなかったんですけど、とにかくかわいい人だなぁと。
妻:彼の第一印象は「なんて汗かきな人だろう。大丈夫かな」。
夫:それがなんで付き合うことになったんだか……。
妻:相手役なんだから、たまにはご飯でも食べに行けよ、って言われて、2人で出かけたりはしてたね。
夫:公演が終わった後も、みんな仲良くて。
妻:そのうちに、そばにいるのが当たり前みたいになって。気が付いたら、一緒に暮らしてた。
夫:10年ぐらい、一緒に暮らしてたんですよ。
妻:でもその後、私たち、一度別れてるんです。
※「よりを戻したければ給与明細を見せるべし? 元アイドルの結婚裏話」につづく
※週刊朝日 2017年9月1日号 より抜粋