LiLiCoも興奮!アカデミー賞でも台風の目になった作品とは…(※写真はイメージ)
LiLiCoも興奮!アカデミー賞でも台風の目になった作品とは…(※写真はイメージ)

 1990年代に「氷の微笑」などで世界的大ブームを起こしたヴァーホーヴェン監督の78歳にしての新作「エル ELLE」。フランスを皮切りに全世界に衝撃を与え、主演のユペールは数々の映画賞を席巻。アカデミー賞でも台風の目になった。

 新鋭ゲーム会社の社長を務めるミシェル(イザベル・ユペール)は、一人暮らしの瀟洒な自宅で、覆面の男に襲われる。しかし彼女は警察にも通報せず、いつもと変わらぬ様子で、訪ねてきた息子を迎えるのだった。

 その後も送り主不明のメールが届いたり、誰かが留守中に侵入した形跡が残されたりする。自分の生活リズムを把握しているかのような犯行に周囲を怪しむミシェル。元夫、恋人、部下、隣人──自分に関わるすべてが疑わしい。父親にまつわる忌まわしい過去の事件から、警察に関わりたくない彼女は、自ら犯人捜しを始める。だが、次第に明かされていくのは、事件の真相よりも恐ろしいミシェルの本性だった……。

■渡辺祥子(映画評論家)
評価:超オススメ、ぜひ観て
被害者なのにそうは見えない女。ヴァーホーヴェン映画のヒロインはタフでワル賢くセクシーなのが魅力。危険な匂いを放ちながらただ黙って怒りの爪を研ぐから標的にされた男は哀れ。後味はよくないが面白さは抜群。

■大場正明(映画評論家)
評価:なかなかGOOD!
グロテスクさとユーモアを駆使する鬼才ヴァーホーヴェン。多面的な顔を持ち、男たちを翻弄する複雑なヒロインに成り切るユペール。ふたりの強烈な個性が、常識も道徳も通用しない妖しく挑発的な世界を作り上げている。

■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:超オススメ、ぜひ観て
最高に興奮しました! 主人公を見つめる感情が冒頭とエンディングでここまで違ってくるのは珍しい。この監督はやはりやってくれますし、ユペールが震えるほど良い。人を違う目で見てしまうかも。究極のエロス!

■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:超オススメ、ぜひ観て
ヴァーホーヴェン監督の復活とユペールの怪演がとにかく嬉しい。演出と演技のパワーに加えてブラックユーモアと皮肉に溢れているので観るのに体力を使うが、この毒気は美味。フィクションとして映画の醍醐味が横溢。

週刊朝日  2017年8月18-25日号