70代の男性は、第41話で菊村、大納言こと岩倉正臣(山本圭)、マロこと真野六郎(ミッキー・カーチス)が釣りをしながら「あの世でもう一度会いたい人」について話していたシーンに胸が締めつけられたと言う。
「女房なら、若いころより、死ぬ間際の老けた女房に俺は会いてえ。そのほうが、しゃべる話が何だかいっぱいある気がしてな」(大納言)
「私も、今すぐ会えるというなら、若く輝いていた昔の律子(風吹ジュン演じる亡くなった元女優の妻)より、死期の迫った晩年の律子に会うことのほうを選ぶに違いない」(菊村)
その会話は、女性視聴者の琴線にも触れた。
「若い女性が好まれる日本にあっていい話だなと。夫もそう思ってくれるときがいつか来るのだろうかと思ったらなんだか切なく、やさしい気持ちになりました」(50代女性)
本作は「(視聴者の)老人観を変えた」と前出の成馬さん。
「老人たちが主役だが、恋愛ありイジメあり、煩悩にまみれて俗っぽい。老人を表現するドラマなのに圧倒的に新しい。僕は高校生の“学園ドラマ”だと思って見ています。それでいて、遺産や相続などの話もあり、老人になった場合のシミュレーションとしても圧倒的におもしろい。辛気くさかった老人ホームのイメージも明るく変わりました」
昨年10月から始まった撮影はすでに全編終了。今後は9月末のクライマックスへと向かっていく。中込プロデューサーは言う。
「新しい登場人物が何人か出てきて、大きな話の転換点を迎えます。恋の話もあり、行き着く先が『実はこういう話だったんだ!』というクライマックスが待っている。そのテーマが、中島みゆきさんの主題歌『慕情』に集約されています。最後まで見て曲を聴くと『そこまで考えて作られているんだ』と納得できると思います。お見逃しなく」
※週刊朝日 2017年8月4日号