「夏の関西大会で創設以来、初優勝しまして、神宮球場で開かれた日本選手権ではベスト8。ボーイズリーグ(シニアリーグと別の組織)のチームも出場し、事実上の硬式野球日本一を決めるジャイアンツカップにも出場を果たせました」

 早実で本塁打を量産する野村は、右打者ながらライト方向へも力強い打球が打てるプロ注目の選手だ。福島シニア在籍時、打撃練習ともなれば、ライト後方を流れる淀川に何発も本塁打を打ち込み、関係者が釣り用の網でボールを拾い集めたという。公式戦でわずか一つしか三振を喫しなかった逸話も残っている。

「中川も野球センスに優れた選手でした。彼らが甲子園という舞台で活躍してくれることで、福島シニアで練習し、礼儀やマナーを学べば甲子園に……と選手や親御さんが考えてくださればうれしいですね」

 高校野球では全国屈指の激戦区である大阪。現在、大阪桐蔭と履正社が2強を成している。当然、大阪の中学生球児たちがまず入学を目指すのがその両校だ。大阪桐蔭の西谷浩一監督が練習の視察に訪れるような機会があると、選手たちに緊張が走るという。

 しかしながら、両校は共に1学年20人前後の部員しか入部を認めておらず、中学生球児にとっては狭き門となる。

「今はどこの私学も、選手の引っ張り合いになっていますので、うちの練習にもいろんな高校の監督さんやコーチ、スカウトの方がみえます。ネットで各地の有望選手の情報は出回っていて、早い子では、中学1、2年生の段階から声がかかることもあります」

 3年生の浅野駿君は、大阪桐蔭への入学を希望しながら、関東の強豪校への進学も視野に入れている。

「高校野球で活躍するために、硬式に慣れておきたかったので入団しました。打順は1番。足と守備がセールスポイントです」

 2年生の浦山天佑君は183センチで、今後の成長が楽しみな大型左腕だ。

「球速はまだ120キロぐらい。投げ下ろすフォームで、打者を打ち取るのが持ち味です。将来はプロ野球選手になりたいので、強い高校に進みたい。そのためにも、まずは福島シニアで結果を残したいです」

 甲子園を夢見る球児の戦いは、既に中学生の段階から始まっている。

週刊朝日  2017年7月14日号