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北原みのり「山口敬之氏の問題と性暴力」

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男性とお酒を飲む時、女性はあることに気を付けるという(※写真はイメージ)

男性とお酒を飲む時、女性はあることに気を付けるという(※写真はイメージ)

 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。北原氏が、 準強姦疑惑が報じられているジャーナリストの山口敬之氏に潜む問題を語る。

*  *  *
 3年前のちょうど今頃の季節、新宿・歌舞伎町の路上で、女性ら十数人が昏睡状態に陥った「事件」があった。大学のテニスサークルの飲み会で、女性は新入生だったようだ。歌舞伎町のど真ん中、女性たちは全く動く気配がなく、深い眠りについたまま乱暴にアスファルトの上に転がされていた。飲み物に何かを盛られたのではないかと疑うしかない状況だったが、警察は事件性はないと早々に発表し、また「被害者」が名乗り出ることもなかった。あの晩、私たちが「目撃」したものは、いったい何だったのだろう。

 元TBS社員の山口敬之氏が、意識を奪った状態で女性を強姦したと週刊誌が報じた時、3年前のあの光景を思い出した。彼には逮捕状が出ていながら、直前で取りやめになったそうで、書類送検されたが結局不起訴になった。先日、被害を受けた女性が記者会見を開き、不起訴を不服として検察審査会に申し立てをした。

 報道によれば彼女は普段、お酒に強いという。それが数杯のアルコールで意識を失った。自力で歩けない女性を山口氏がひきずるようにしていたのを何人かが目撃しているという。そういう状態の人を病院に連れていかず、ホテルに連れ込み、避妊せずに行為に及んだことは山口氏も認めている。

 女性の記者会見後、女が集まれば必ずこの話になる。驚いたのは、「男性とお酒を飲む時は、グラスからは目を離さないようにしてます」などと20代の女性たちが、当たり前のように話してくれたことだ。薬を盛らないまでも、酒を飲ませて女性をつぶすことを目的にする男性も少なくないというのは、女たちの一致した感想だった。女性の意識を薬や酒で奪い性交に至るまでの過程をゲームのように楽しむ感覚が決して特殊でないリアルを、女たちは生きている。どんな地獄だ。


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