北原みのり「ユノが戻ってきた!」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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北原みのり「ユノが戻ってきた!」

連載「ニッポン スッポンポンNEO」

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好きな人に「しつこい」って言われるなんて…(※写真はイメージ)

好きな人に「しつこい」って言われるなんて…(※写真はイメージ)

 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。北原氏は東方神起のユノが兵役を終えたことで「解放」の喜びを実感した。

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 東方神起のユノが1年9カ月の兵役を終えて戻ってきた!

 2015年7月のユノの入隊の日から、一ファンとして、ずっと「待っていた」。「待つ」という行為は、受動的に見えて、かなり主体性を問われる行為だった。時に、秒針が速く進まないかなーと、時計をぼーっと見ている自分をヤバイヤバイと何度も思いつつ、きちんと生きなきゃっ!と己を励ますように過ごしてきた。ああ、そんな日々もようやく終わりだ。待つ、という状態からの解放が、どれだけ人を自由にし、安堵させることか!

 良心的兵役拒否を認めない、世界で最も厳しい徴兵制を敷く韓国は、たとえ国を代表する芸能人ですら例外を認めない。人生で最も重要のように感じられる18~30歳に、2年近くも時を奪われる現実の重さは、外国人の私には到底理解できないことでもある。何を言っても中途半端で、心許ない気持ちになる。

 日本の植民地として国を支配され続け、日本敗戦と共にようやく解放されるかと思いきや、国土が激しい戦地となり、分断され、冷戦構造のまっただ中におかれ続けた朝鮮半島。韓流にはまり好きなアイドルが兵役に就く経験で直視させられるのは、韓国がずっと冷戦状態にある事実だ。

 韓国大統領選挙を前に、北朝鮮への親和政策を公言する文在寅氏が有力候補であることに対し、産経新聞上で「韓国は日本以上に平和ぼけしている」と批判しているコラムを読んだ。これを書いた人は、平和ぼけどころか、ただ呆けてるのだと思った。歴史を知らない、韓国の今を知らない、どれだけ厳しい徴兵制が敷かれているかも知らない、社会の空気を感じようともしない。そしてそんな風に呆けていても新聞に堂々と自分の意見を書けるなんて、日本って、本当にいい国だ。

 ところで、ユノはクリスチャンということもあり、慈善事業に熱心でもある。

「ずっと貯金しているんですけど、その半分は慈善事業に充てようと思っています。(略)困っている人たちへと返したい」

 そんなユノの思いを引き継ぐように、韓国を中心としたユノのファンクラブは、ユノの名前をつけた学校や、図書館を建設してきた。ガーナにユンホ教育センターとか、中国や韓国国内にユンホ図書館とか。ああ、私もユノの名前のついた学校を日本で創りたい!と騒いでたら、「それって、籠池と一緒じゃん」と友だちに指摘された。とたんに籠池さんをこれまでになく身近に感じ、そして不憫に思った。好きな人に「しつこい」って言われるなんて、さぞかし、つらかったろう。

 安倍ファミリーのやりたい放題が次々に明らかになってきている。8億円の値引きの根拠とされたゴミの一部が実はなかったという証拠メールを籠池氏が出し、さらに朝日新聞が加計学園の獣医学部新設に総理の「ご意向」があったとスクープした。

 安倍首相が去るのを「待つ」日々から、ようやく解放されるだろうか。早くその日を待ちたい。

週刊朝日  2017年6月2日号


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北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

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