15年11月には昭恵氏付職員の谷査恵子氏が、籠池氏からの問い合わせを受け田村室長とやりとりをし、籠池氏にファクスで回答しています。そして音声記録の中のやりとりでも、籠池氏は「棟上げ式に首相夫人が来られて、をまくことになってるから」と、昭恵氏に言及していた。官僚が「安倍家」の存在を意識しないはずはありません。

 実際、やりとりの中で田村室長は「もともとこの件の経緯が、もう貸し付けするっていうことが特例だった」「特例的なものは我々にも相談が来る」と、何度も「特例」という言葉を使っている。政治家の関与する、いわゆる「マル政案件」であることを、自ら認めているようなものです。このやりとりの後、土地が8億円値引きされ、森友学園に売却されました。8億円の根拠が何だったのかはわかりません。15年9月4日の近畿財務局と業者との交渉記録では、近財が簿価より高い費用を発生させられないと言って、ゴミの埋め戻しを指示したことになっています。

 そもそも、値引き前の9億5600万円という土地の評価額の根拠があやしい。隣接するほぼ同じ広さの土地は、約14億円で豊中市に売却されています。土地の値段も、政治案件だからと恣意的に決められた可能性があるのです。

──籠池氏は、「(交渉の)録音テープはまだあります」と語っていた。今後、さらなる“爆弾”が出てくるのか。

 私のほうでも、籠池氏から託された資料について精査を続けているところです。うやむやなまま幕引きはさせませんよ。(本誌・小泉耕平)

週刊朝日  2017年5月19日号