決まらないと投票になるケースも。前出の埼玉県の女性は、「もはやいけにえ投票ですよ」とあきれる。投票されるのを避けようと、会議前に「あの人がやりたがっていた」「幼稚園でも役員だった」「普段非協力的だからやらせよう」などうわさをばらまく人が現れるという。これでは、保護者が当事者意識を持つのは難しいだろう。

 4月18日には、インターネットに「PTA早くなくなれ、なくしてしまえ」というタイトルの投稿があり、「第2の『日本死ね』」と、話題を呼んだ。投稿者は抽選でPTAの役員になったが、集まりのために「役員なら仕事を休むの当たり前」と強制されたという。「平日家にいる母親何パーセントいるんだよ」「安倍さんなんとかしてよ」との訴えに、「親になるコストが不当に高すぎる」「教育費はかかるわ、手間はかかるわ、いたら働けないわ…で子供が減るのは当然」など、多くの声が寄せられた。PTA役員を押し付け合う背景には、このような切実な声がある。だが、立場を悪用しようとする人がいる以上、子どもを守るためにはもはや「他人任せ」ではいられないのかもしれない。

 PTA副会長の経験がある都内の40代女性は、千葉の事件以来、PTAに対する思いが変わったという。「かなり負担になるので、解散してほしいとずっと思っていたが、先生と保護者が子どもを見守りつつ、お互いを監視するような関係としては存続すべきかも」

 過剰ともいえる負担と、他人任せにするリスク。どちらも看過しがたい。PTA役員経験がある50代男性は、「逃げるは恥だが、役にも立たないのがPTA」と憤る。保護者は今年もジレンマに悩むのか。

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