シリア攻撃でわかった“暴君トランプ”真の標的 (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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シリア攻撃でわかった“暴君トランプ”真の標的

トランプ米大統領 (c)朝日新聞社

トランプ米大統領 (c)朝日新聞社

 ニクソンは69年10月にはソ連に対して、米軍に世界戦争準備指令が出て、水爆を搭載した爆撃機がソ連国境近くを3日間飛行するパターンを続けたら「狂気は抑えられない」と言ったこともあるという。

 ニクソンは、ヘンリー・キッシンジャー補佐官を使ってこうした策略と巧みな外交で、北ベトナムとのベトナム和平・パリ会談を合意に持ち込んだ。だが決して、ワンパターンな策略だけで、ベトナム戦争後にかけての困難な時期を乗り切ったわけではなかった。

 71年7月15日の“ニクソン・ショック”で「来年中国を訪問する」と爆弾発表をしたとき、日本の佐藤栄作首相にはテレビ演説直前になって伝えたが、アナトリー・ドブルイニン駐米ソ連大使には約10時間近く前に通知し米ソ間の意思疎通を維持していた。

 アメリカがそんな策略を、などと感心している場合ではない。トランプ現大統領による「狂気の戦略」は日本の安全保障にも直接かかわる問題だ。

 直前までだれも予測しなかったシリア攻撃。これで新大統領として史上最低の支持率で低迷するトランプ氏が今後、外交安保戦略を巧みに推進できるようになるか、と言えば、非常にリスクいっぱいの危なっかしいかじ取りが続くと言わざるを得ない。

 シリア攻撃と同時進行の形になった米中首脳会談は成果などまったくなかった。

 トランプ大統領は会談前、記者団に、中国は核・ミサイルで挑発を続ける北朝鮮に対して圧力を「強めるようになるだろう」と、制裁強化への期待感を示していた。

 一方、貿易問題でも「我々は長年にわたり不公正な扱いを受け、中国とひどい取引をしてきた」と不満を表明していた。

 会談当日にシリア攻撃で「活」を入れたつもりだったかもしれないが、習近平中国国家主席は譲歩しなかった。

 中国側は最高指導部人事を決める秋の共産党党大会を前にして、米中関係が良好なことを示すだけで、この首脳会談は成功だった。習主席のいつになく穏やかな笑顔がまさに、「トランプ砲」の攻勢をかわすのに成功したことを物語っていた。これ以後、中国や北朝鮮がトランプ氏の「狂気」を信じるとは思えない。

 しかし、問題は米ロ関係の今後だ。プーチン・ロシア大統領は、シリア攻撃は「ロ米関係に重大な害を与える」と非難した。


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