「各省庁とも天下りをやめるつもりはない。騒ぎが静まるのを待っているだけだ」
そんな官僚の思惑は、本誌が入手した、再就職等監視委員会の「文科省早稲田大学事案に係る調査報告書」にもにじみ出ていた。多くが黒塗りだったのだ。
前川喜平・前事務次官などごく一部以外は、「ノリ弁」状態。端緒の吉田大輔・元高等教育局長の早稲田大学への天下りは国家公務員法の再就職等規制違反と認定されたにもかかわらず、藤原章夫・元人事課長以外の違反者2人は黒塗りだ。
さらに、組織的な再就職あっせんを裏付ける関係者らの具体的な供述・証言も黒塗り。<現職職員らによる個別の再就職等規制違反行為又は同違反が疑われる>として計37事案が列挙されているが、ほぼ黒塗り。全容は見えないままだ。
それに対して、民進党の大串博志政調会長は憤る。
「報告書には、37の怪しい事案や前川氏の疑惑が記され、文科省が自動的にあっせんしているような記述もある。実際には、もっとたくさんあるんじゃないのか。黒塗りや文科省の言い訳を見ていると、引き延ばして国民の関心が薄れるのを待っている感じがします」
嶋貫氏が明治安田生命とは別に顧問として年500万円の報酬を得ていた保険代理店も、文科省の共済組合関係の保険を長く取り扱っている。文科省は民進党の調査に対し、「創業者の妻が旧文部省に勤務していた」と認めているが、「代理店と文科省との間に、便宜供与など疑われるような事実はない」としている。
全容解明なるか。安倍政権の本気度が問われている。
※週刊朝日 2017年2月24日号