一方で、日本政府は表だって反論していない。「まだ就任していないので、政府として会見の発言についてコメントすることは控えたい」(菅義偉官房長官)

 安倍首相も10日夜に都内であった財界人らとの会合で、フィリピンのドゥテルテ大統領やロシアのプーチン大統領との会談については上機嫌に語ったが、トランプ氏のことに話が及ぶと口が重くなったとされる。

 正式に就任すれば改善するとの期待があるようだが、そうもいかなそうだ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長は「保護主義の動きが強まり、メキシコ、中国の次に日本への圧力が高まる恐れがある。政府はこれまでも米国に反論できておらず、従うしかない」という。

 政府も頼りにならないなかで日本企業の逃げ場はなさそうだ。「ふざけるな」と言いたいのは狙われる経営者のほうかもしれない。

週刊朝日  2017年1月27日号より抜粋