間違いだらけのランニング “正しいフォーム”ない!?(※写真はイメージ)
間違いだらけのランニング “正しいフォーム”ない!?(※写真はイメージ)

 日本のランニングとジョギングの参加人口は、2190万人(「レジャー白書2016」)。いまや国民的スポーツとなったランニング。しかし始めると、気になるのが自分のフォームだ。

「肘を後ろに引きながら走る」「胸を張る」「重心を高く保つ」。こうした情報を耳にし、走るときにも気になる人も多いはず。

「もちろん、理論上は正しいフォームは存在します。しかし、体格も骨格も人によって違い、『正しいフォーム』は人それぞれ。その人にとって最も効率的で、楽な走り方をすればいい。すると、ほとんどの人は3カ月ほどでスムーズな走りへと自然に変化します」(大阪体育大学名誉教授の豊岡示朗さん)

 アスレチックトレーナーで、『やってはいけないランニング』の著書がある鈴木清和さんも同じ考えだ。

「フォームを気にしすぎると、どうしても体のどこかに力が入って硬くなってしまい、けがを誘発する。走るときは、正しいフォームよりもリラックスすることが大切。自らの体や地面の状態と対話し、自然と足が前に進むような走り方をすればいいのです」

 自らの感覚を信じることは、ウォーミングアップでも同じ。けがや疲労の蓄積を避けるため、準備体操にストレッチを取り入れるランナーは多い。ここにも落とし穴がある。

「ストレッチは、ギターの弦をチューニングするようなもの。緩めすぎてもいけないし、引っ張りすぎてもいけない。体の柔軟性が人によって違うように、最適な筋肉の伸ばし方も、人によって違います」(鈴木さん)

 特に、ランニング直前のストレッチには注意点も。

「ウォーミングアップは、普段は使っていない筋肉を、走れるように変換する作業。準備運動としてジョギングで体を温めたのに、中断してストレッチに時間をかけると、体が冷めて元の状態に戻ります。ランニング前はまずは歩くことから始め、次にジョギング、体が温まったらランニングに入るとよい」(同)

週刊朝日  2016年12月23日号