林:コンサートでは、何万人ものお客さんがいる中で、“神”になるわけでしょう。

閣下:神にはなりません。悪魔ですから(笑)。

林:失礼しました(笑)。絶対的な教祖になるわけでしょう。気持ちいいでしょうね。

閣下:まあそうですね。

林:閣下はコメンテーターとしてテレビにもお出になっているから、そこから新しいファンがついたり?

閣下:それは何とも言えないですね。たとえば大相撲中継のゲストに出たことでコンサートに来る人が増えるかというと、別でしょうね。いま、「閣下は歌も歌うんですね」と言ってくる人もいますから。

林:えっ。そんな人いるんですか。

閣下:います、います。我輩が歌をなりわいにしていることをまったく知らない人も大勢いて、歌のイヴェントにゲスト出演したりすると、インターネットに「デーモン閣下って歌を歌うんだ」みたいな書き込みが上がったりしますから。それぐらい趣味が分かれてるということですね。

林:びっくりです。

閣下:私たちの時代……というのも変ですが、10万年も生きてるんで(笑)。おしなべて戦後何十年かを知っている者たちは、歌番組に出ている人たちを、みんなが共通して知っていたじゃないですか。尾崎紀世彦、美川憲一、クール・ファイブ、山口百恵……。いまはそうじゃないですよね。みんな趣味が違うし、自分の趣味の世界に没頭するから、全員が知ってるものがない時代になったと思います。

週刊朝日 2016年11月25日号より抜粋