盲目の噺ができない…春風亭一之輔が落語界の自主規制を危惧 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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盲目の噺ができない…春風亭一之輔が落語界の自主規制を危惧

連載「ああ、それ私よく知ってます。」

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春風亭一之輔が落語界の自主規制を危惧(※写真はイメージ)

春風亭一之輔が落語界の自主規制を危惧(※写真はイメージ)

 落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は、「自主規制」。

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 先日、NHKラジオの「真打ち競演」という公開収録番組に出た時、「竹の水仙」という落語をやった。

 本番前にネタをさらっていると、噺のなかに「乞食」という単語が出てくるではないか。放送で「乞食」はマズいかな。プロデューサー氏におそるおそるお伺いをたてると「問題ないですよ~」とのこと。文脈をみても、差別意識からの使用ではないので大丈夫、だそうだ。言われてみればたしかにそうだ。でも人に聞く前に己で考えにゃな。

 そもそも「放送禁止用語」なるものはこの世に存在せず、全て放送局側の自主規制なのだ……と大学の授業で習った。局が怒られたくないから勝手に遠慮してるだけ。「過剰な自主規制は表現の自由を自ら狭めている! ダメ、ぜったい!」みたいなことを先生が言ってたっけ。

 でも、基本的に落語家は揉め事が嫌い(一部例外もあり)だし、「不快に感じる人がいるなら、わざわざ言うのはよそうよ」という考えの人が多い。

「政治・宗教・野球の話題は意見が割れるし、洒落にならないこともあるから避けろ」とも先輩から言われた。

 また、障害のあるお客さんが来場すると、楽屋の黒板に「目の不自由なお客様がいらっしゃいます」などと書いて出演者に知らせる。それを見て噺家は演目を決める。盲人が登場する噺を避けるだけでなく、「○○に目がない」なんて言い回しを控えたり。気を使いすぎなんじゃないか、と思うくらい。

 最近、「妊婦のお客様がいます」なんてお触れ書きが出るようになった。たしかに妊婦さんは、お爺さんの顔した赤ちゃんが生まれて、行灯の油をペロペロ舐める因果物の怪談「もう半分」なんか聴きたくないだろう。「あそこのカカアは四季に孕んでやがる!」なんてフレーズも避けたほうがいい? 「町内の若い衆」もできないかな?


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