その根拠としているのが「誓約書」のサインだという。本誌は、その内容を独自に入手した。平成28年7月28日との日付がある。

〈私は、今般施行される衆議院福岡県第6区補欠選挙の公認候補者予定者として選考して頂くにあたり、党の綱領・政策に従い、党則を厳守し、党規に違反しないことは勿論、選考委員会に身を委ね、いかなる事情があろうともその決定に従うことを誓います〉

 そして二郎氏の署名、押印がある。結果、選考委員会は蔵内氏を選んだ。

「誓約書で、選考委に従うと納得している。なぜ決定に従わないのか」

 地元県議は不満をあらわにする。二郎氏には政治資金問題が浮上するなど、陣営同士の場外戦は激しさを増す。二郎氏の選対幹部は、

「大川市長を辞め退路を断った。絶対に出馬します。誓約書は職業選択の自由を奪うような内容でサインしたくなかった。だが、選考の舞台に立てないと言われ仕方なくサインした。選考委員会の面接すらなく、県連の選考は大問題」

 と反発する。そして、こんな話も飛び出すのだ。

「小池知事は、自民党都議団や議会改革を訴えている。福岡も自民党県議団の改革が不可欠なのは、不透明な選考でも明らか。小池知事と連携して戦うことも、ありうる」

週刊朝日 2016年9月23日号