大川市長を退任したばかりの鳩山二郎氏 (c)朝日新聞社
大川市長を退任したばかりの鳩山二郎氏 (c)朝日新聞社

 10月23日投開票の衆院補選(衆院東京10区、衆院福岡6区)。小池百合子東京都知事誕生の余波が、自民党を翻弄(ほんろう)している。

 小池氏が自動失職した東京10区は、自民党国会議員で唯一支援してきた若狭勝衆院議員(59)=比例東京ブロック=が党の公募に応じ、出馬したいと表明。

「若狭氏は党の意向に背き、小池氏を支援した処分対象者。だが、小池氏の圧勝にコトを荒立てるのはまずい。厳重注意処分で、幕引き。党本部は若狭氏を候補とする方向だ」(自民党幹部)

 セガサミーの里見治会長の娘婿、鈴木隼人衆院議員(39)=同=を擁立する動きもあったが、「あえて小池氏とケンカする必要はない」(自民党関係者)と、細田博之総務会長(島根1区)の後継で鈴木氏を調整。7月の知事選と異なり、分裂選挙は回避される見通し。

 混沌(こんとん)としているのは、鳩山邦夫元総務相の死去に伴う福岡6区補選だ。自民党福岡県連は早々に蔵内勇夫県連会長(福岡県議)の長男で、林芳正参院議員の秘書、蔵内謙氏(35)を擁立。だが、邦夫氏の次男で、同県大川市の鳩山二郎市長(37)が後継として出馬を表明し、分裂選挙になる見込みだ。

 蔵内氏の選対本部長は麻生太郎財務相、顧問に古賀誠元自民党幹事長がついた。一方、二郎氏は二階俊博幹事長と党本部で面会し、公認を求めた。

「菅義偉官房長官と邦夫氏は親しい関係。二階氏も知らない関係ではない。党本部で逆転を狙った」

 二郎氏の陣営関係者はそう話す。自民党が実施した福岡6区の情勢調査では、二郎氏が蔵内氏を圧倒的に上回る数字だったという。

「二郎氏のほうが知名度があり確実に勝てる」

 そんな声が党本部から上がり、地元国会議員の後押しもあり、候補者差し替え論も浮上する。蔵内氏陣営の県議は、あくまで強気だ。

「手続きを踏んで県連が擁立。党本部が頭ごなしにひっくり返そうとするのはおかしい」

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