J.D.CROSS汐留店。2014年7月にオープン
生花とプリザーブドフラワーを扱う「フラワーデザイン」のほか、「ブライダルプロデュース」も手がける。価格は要相談
放送作家でコラムニストの山田美保子氏が今注目するグッズを紹介する新連載「楽屋の流行(はや)りモノ」。今回は、芸能人御用達のセンスある花屋について。
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芸能人はよく花を贈り合う。その風習が広く知れ渡ったのは、いまはなき「笑っていいとも!」(フジテレビ系)のテレフォンショッキングだろう。
しかし、スタンド花に挿された札にはゲストの名前より送り主のそれが大きく記されていて、タモリさんは、しばしばそこにツッコんでいたものである。
スタンド花の価格は、1段で1万5千円、2段になると2万円から2万5千円というのがポピュラー。
芸能人にとって、年間の花代は、50万円とも100万円とも言われ、それは経費になっているのか否か。なっているとしたら、それは「贈答品代」なのか、はたまた「交際費」なのか……という話を某芸能人としていたら「宣伝費だ」という答えが返ってきて驚いた。
「だから自分の名前のほうを大きくしてもらうんじゃないの? 芸能人御用達の花屋は、黙っていてもそうしてくれる」と聞いた。
この連載では今後、多くの花屋を取り上げていくと思うが、初回はあえて、「札の名前の大きさ」よりも「センスの良さ」で指名を受けている「J.D.CROSS」を選んでみた。
店舗は日本テレビと地続きのホテル「ロイヤルパークホテル ザ 汐留」1階。
ホテルのオープン時、その場所にはアレンジメントに定評があるロンドンのフラワーデザイナー「JANE PACKER」の直営店が入っていた。質のいい生花や珍しいグリーン。プリザーブドフラワーのアレンジも人気だった同店は、日本テレビでレギュラーをもつ多くのタレントたちから「センスのいいアレンジメントならあの店」と評判だった。
が、「JANE PACKER」は日本から店舗を撤退したため閉店。その後、別の店が入っていたがすぐに閉店し、続いて、店構えといい、品揃えといい、センスといい「JANE~」に限りなく近いテイストの「J.D.CROSS」が入った。聞けば、「JANE~」の主要スタッフが再集結し、同ホテルに帰ってきたのだという。
ホテルでのウェディングや、近隣の飲食店でのセレモニーに同店のアレンジメントを利用する有名人は多数。「ぜひ戻ってきてほしい」とオファーしたのはホテル側だったと聞く。
コンサートや演劇の「ロビー花」よりも、洒落たレストランやサロンのオープン時に贈るときの“指定店”となっている。「センスある人」と先様にアピールしたいときに覚えておきたい花屋のひとつだ。
※週刊朝日 2016年6月24日号