草刈:どうなんですかね。真田家の中で、頬をパンパンとたたくスキンシップがあるんですが、あれは草笛光子さんが始めたんです。「西洋っぽいかしら」っておっしゃってたんですが、おもしろいからやろうとなって、高畑淳子さんも始めて、僕も信繁(堺雅人)にやってみたり。みんなでハグし合ったりして、「実際にこんなことやるか?」というのはありますけど、それが定着して。

林:「真田丸」は家族劇としても非常におもしろいですよね。お母さんもおばあさんもユニークで、お父さんは子どもたちから慕われていて。

草刈:いい加減な親父なんだけどね(笑)。

林:北条につくか上杉につくか、クジ引きで決めようと自分で言っておきながら「こんな大事なこと、クジで決められるか!」と言ったり、息子に本心を聞かれて「全くわからん!」と答えたり。大笑いしてしまいましたよ(笑)。

草刈:とにかくホンがおもしろいから、現場が沸きますね。ディレクターもセンスがいいし、スタッフにも恵まれて、本当にいい雰囲気です。

林:三谷(幸喜)さんの脚本は早いんですか。

草刈:遅いんです、すごく(笑)。でも三谷さんもすごく楽しいんだと思うんです。それで欲が出て、「もっと、もっと」となるんでしょうね。

林:共演の俳優さん、芸達者な方々ばかりですから、「相手がこう来たらこう返そう」とか、いろいろ計算しながらなさるんですか。

草刈:そういうことは一切考えません。あんまり緻密にやるタイプじゃないし、三谷さんのホンは自分の感性に素直にやれるんでね。僕だけじゃなくて、それぞれがなぜキャスティングされたのか、わかるんですよ。だから俳優さんがみんな生き生きしています。

週刊朝日 2016年6月3日号より抜粋