――話は盛り上がったが、彼は世界一周に出発する身。「じゃあ、そのうちパリに来たら会いましょう」と、そのまま別れた。

妻:半年後に彼から「いまスペインにいるので、これから行きます!」と連絡がきたんです。「あ、ホントに来るんだ」と思った。

夫:遠慮もしないで「泊めてください」って。僕は思いついたら、なんでも即決なので。

妻:迷わないところはすごいなと思うけど、たまに「もうちょっと考えたら?」って思うこともある。

夫:ハハハ。そもそも世界一周も思い付きなんです。サッカーが大好きだったのに、広告会社に就職したら忙しすぎて02年のワールドカップを全然見られなかった。「サッカーを見られる仕事がしたい!」と半年で辞めて、ライターになった。それで06年のワールドカップを観戦するついでに世界一周をしよう、と。

妻:でも7歳年下だし、彼は「これから人生を切り開く!」という感じだった。パリで再会したときも、まさか付き合うことになるとは思いませんでした。

――そう、妻の職場は国連。収入も社会的地位も安定した結婚相手の「有望株」は大勢いたのでは?

妻:うーん、どうして彼だったんでしょう?

夫:ちょっとそこ詳しく教えてくれる?(笑)

妻:アハハ。やっぱり「自由さ」を感じたところかな。

週刊朝日 2016年5月6-13日号より抜粋