「最近では13年に昭和大が6年間で450万円(一般合格者)、東邦大が600万円、14年に帝京大が1169万円、15年に東海大が254万円値下げしました。帝京大は大幅に値下げしたため、一般入試の志願者が前年より2967人も増加。定員107人に8334人が志願し、約78倍の倍率でした」

 一方、偏差値と医師国家試験の合格率が連動するかといえば、そうではない。毎年、約800人もの医学生が医師国家試験で涙をのんでいる。最難関の東大でさえ、合格率が100%ではないことが多い。

 そんななか、毎年、高い合格率を誇るのが自治医科大だ。100%の年もある。同大は地域医療に従事する医師を養成するために、都道府県が共同で設立した医大だ。学生はこう話す。

「みんな、都道府県の代表としての自覚、地域医療を担う医師になるという目標があります。全寮制なので寝食をともにし、切磋琢磨しながら熱心に勉強します」

 熱意が高い合格率に表れているのだろう。

 偏差値に比して合格率が高いのが兵庫医科大だ。鈴木敬一郎副学長は、合格率トップレベル校に名を連ねている理由について話す。

「6年生のカリキュラムは自主性を尊重する自由度の高いものです。そのために1・2年次から選択科目を選ばせて、自己管理能力をつけさせます」

 さらに同大では、成績不振の学生に個別指導を実施。医師国家試験を控えた6年生のために自習室を24時間開放するなど、支援体制が整っているのが特徴だ。

「卒業試験で良問を出していることも、高い合格率に結びついているのだと思います」(鈴木副学長)

週刊朝日 2016年3月11日号より抜粋