空前の医学部ブームが(※イメージ)
空前の医学部ブームが(※イメージ)

 2008年のリーマンショック以降、高収入を得られる手堅い職種として医師を目指す受験生が増え、空前の医学部ブームが始まった。昨年、高止まりになったとはいえ、まだまだ人気は堅調だ。

 だが、ご存じのように、それほど学費が高くない国公立大医学部入学には相当の学力が必要だ。私大に目を向けても、やはり難関の上、他学部に比べて学費が破格に高い。

 私大医学部の6年間の平均授業料は約3300万円。なんと、国公立大の10倍近い。年間で500万円以上になる計算だが、これは国税庁が発表した14年の民間企業の平均給与額415万円を大幅に超える。

 一口に私大医学部の学費といってもかなり幅がある。6年間の総額が最も安い順天堂大の2112万7800円に対し、最も高い川崎医科大は4716万5千円。両大の学費は倍以上違う。

学費に加え、諸会費や実習費がかかる場合もある。さらに、大学によっては寄付金も必要だ。1年次に全員が寮に入る順天堂大、昭和大、岩手医科大、川崎医科大では寮費もかかる。

 興味深いのは、偏差値が上位の大学の学費は2千万円台のところが多いが、偏差値が低くなると学費が高くなる傾向があることだ。偏差値と学費は反比例の関係にあるのがわかる。

 偏差値68の順天堂大が学費の値下げに踏み切ったのは08年。6年間の学費を約900万円も安くした結果、優秀な志願者が増え、結果として偏差値が上がった。駿台予備学校市谷校舎の竹内昇校舎長は説明する。

「首都圏の生徒が下宿して地方の国公立大医学部に通うよりも、自宅から首都圏の私大に通うほうが、費用が安くなることもあります。学費を下げたことが志願者増につながり、偏差値が大きくアップしました」

 この順天堂大の事例以降、私大医学部の学費値下げが相次いだ。代々木ゼミナール入試情報部の加藤広行部長は語る。

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