手前のMCのジャスティンを見て話さなければいけないのに、どうしても通訳を見てしまう(撮影/岸本絢)
手前のMCのジャスティンを見て話さなければいけないのに、どうしても通訳を見てしまう(撮影/岸本絢)
ジャスティンに本山式筋トレをやらせる。数分で悲鳴をあげた(撮影/岸本絢)
ジャスティンに本山式筋トレをやらせる。数分で悲鳴をあげた(撮影/岸本絢)

 Channel NewsAsia(シンガポールのテレビ局)から取材を受けた認知症早期治療実体験ルポ「ボケてたまるか!」の筆者・山本朋史記者。クルーとの3時間半はまるでドタバタ劇のようだったという。

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 取材チームはMCのジャスティン・ブラットンとプロデューサーのHui Huanさん、それにカメラと音声、通訳とPENさんの6人。

「時間は合わせるのでよろしくお願いします」

 何度も頼まれた。熱意に負けた。12月6日の午後2時からの1時間半ならと受諾。職場も撮影したいと、場所は東京・築地の週刊朝日編集部を指定された。

 NHKなどテレビには何度か出演したが、海外の放送局からどのように取材されるのか見当もつかない。不安だ。番組のMCが来て英語で質問するのだ。どう答えたらいいのか。

 当日。編集部にジャスティンを先頭に巨漢を含む6人が大きな器材をいくつも担いでやってきた。

 質問者はMCのジャスティンだ。ちょっと早口の英語でペラペラ話しかける。質問項目を送ってもらってはいたものの聞き取れない。つまりチンプンカンプン。女性通訳がフォローしてくれる。彼女に答える形で現在の状況を説明する。Huanさんから待ったがかかる。

「ジャスティンのほうを見て返事をしてほしい」

 ぼくはMCI(軽度認知障害)と何度も言うのだが、シンガポールでは「Mild Cognitive Impairment」がまだ定着していないのか、途中でいつの間にか「dementia」という言葉に変わっている。送られてきた質問項目でも途中から軽度認知障害が認知症に変わっていた。認知症予備軍のぼくはいちいち訂正するのはやめた。しかし、この違いを理解していないから、デイケアで治療を受けながら仕事を続けることがジャスティンには不思議だったのだ。ぼくは説明した。

「症状は毎日同じではない。頭がボーッとして調子の悪い日もあるけれど、普段は仕事にはほとんど支障がない」

「認知症はいまや誰でも発症する可能性のある病気で、日本ではぼくのような予備軍も含めると65歳以上の4人に1人がなると言われています。早期発見して、専門医に相談することが大切です」

 何度もゆっくり話したがどこまで通じただろう、自信はない。ジャスティンはラフな格好ですぐにでも運動ができそうだった。通訳を通して提案した。

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