注目ワード

築地市場   佳子さま   米大統領選   北朝鮮   がん

「アベノミクス提唱者は危機感がない」藤巻健史が苦言

このエントリーをはてなブックマークに追加
(更新 2015/12/18 07:00)

内閣官房参与の藤井聡さん (c)朝日新聞社

内閣官房参与の藤井聡さん (c)朝日新聞社

 安倍晋三首相は、アベノミクス「新三本の矢」で2020年までにGDPを600兆円にする目標を掲げたが、“伝説のディーラー”と呼ばれた藤巻健史氏は、実現は無理だと理由をこう述べる。

*  *  *
 12月4日、BS日テレ「深層NEWS」で藤井聡内閣官房参与(京都大学大学院教授)と議論した。アベノミクスの第2弾「GDP600兆円の実現可能性」に関してだ。藤井教授は、ご自身が提唱した(キャスターの方に突っ込まれて否定されなかった)のだから当然のこととして、実現は「可能」。私は「不可能」との立場だった。

 600兆円は、内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」の「経済再生ケース」で名目3%、実質2%の経済成長を続ければ2020年度にほぼ達成するとされる数字だ。

 日本経済は20年間、名目GDPが約500兆円のまま低迷した。それを突然5年間で2割増しの600兆円にするというのなら「目が覚めるような政策」が必要だ。しかし、そのような政策は聞いていない。現在の潜在成長率は実質1%といわれている。潜在成長率とは労働、生産性、資本をフル活用したときに達成可能な成長率で、中長期的な成長の天井だ。少子化で労働人口が減っているから、天井を引き上げるには、生産性の向上か資本増しかない。生産性だけに頼るなら2%以上の向上が必要となるのだが、これはイノベーションが盛んな米国の2倍以上の伸びとなる。

 私が「不可能」と断じる最大の理由は財政危機の存在だ。名目3%、実質2%という高成長が続けば消費者物価指数(CPI)は2%を安定的に上回るだろう。日銀は、10月発表の展望レポートで当初3年間の実質成長率を内閣府の計算よりかなり低く抑えた。それでも来年度後半にはCPI2%達成を公言している。日銀がCPI2%の目標を達成したからといって異次元の量的緩和をやめたら国債市場は暴落だ。市場の7割、来年は8割という爆買いをする買い手がいなくなればどんな市場でも暴落する。入札は不可能となり政府の財布は半分が空になる。日本のギリシャ化だ。ギリシャと日本の差は、中央銀行が紙幣を刷って政府の資金繰りを助けられるか否かの差しかない。ギリシャ化が嫌だといって日銀が実質的な財政ファイナンス(政府の赤字を中央銀行が紙幣を刷ることによってファイナンスする)を続ければハイパーインフレまっしぐらだ。


トップにもどる 週刊朝日記事一覧


【関連記事】

   安倍政権 , 藤巻健史 をもっと見る
このエントリーをはてなブックマークに追加

ソーシャルメディアでdot.をフォロー