「ノミネートが発表されると一般の方から電話やメールがありました。これを入れないのはおかしい、というものから、政治関連が多すぎる、(選考委員の考え方に沿って)左寄りなのではないのかという意見までありました」(新語・流行語大賞事務局)

 それを意識してか、選考委員のやくみつる氏は授賞式で「各委員にはそれぞれの政治スタンスはあるが、選考はそれに左右されることはない」と強調していた。

 だが、政権に遠慮して、政治に関する言葉は大賞に選ばなかったのではないかとの疑念もくすぶる。

「今年は当然、『安保法案』や『イスラム国(IS)』が入っていておかしくない。むしろ、なぜ『安保法案』が入らないのか。安倍首相に配慮したのではないかとさえ勘ぐってしまう」(碓井教授)

 選考委員長でジャーナリストの鳥越俊太郎氏は言う。

「大賞は言葉の存在感とインパクトで選ぶが、今回はバランス感覚も多分に働いた。政治には賛否両論があるが、どちらかを選んでどちらかを選ばないわけにはいかないでしょう」

 物言えば唇寒し。

週刊朝日 2015年12月18日号