「戦死」ではなく「公務死」? 自衛官、いまそこにある危機 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
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「戦死」ではなく「公務死」? 自衛官、いまそこにある危機

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週刊朝日#安保法制
航空自衛隊のC130輸送機 (c)朝日新聞社

航空自衛隊のC130輸送機 (c)朝日新聞社

 自衛官にとっての「危機」は、すぐそこに迫っている。自衛隊が南スーダンで実施している国連平和維持活動(PKO)の任務に、来年11月の派遣部隊の交代時から、今回の法改正によって合法とされた「駆けつけ警護」を加えることが検討されているのだ。

 他国軍やNGO職員が武装集団に襲われた場合などに、武装した自衛隊が救援に向かう「駆けつけ警護」。それがもし実行された場合、何が起きるのか。元陸上自衛隊レンジャー隊員の井筒高雄氏がこう語る。

「『警護』といっても、実態は戦闘にほかなりません。2ケタ単位、最悪3ケタの死者が出ることもあり得る。特に、今のまま自衛隊が戦えば、負傷者中の死者の比率が高くなることは避けられない。自衛隊は諸外国の軍隊のように救急救命の制度が整っておらず、医師法や薬事法の制約で衛生兵による現場での治療や薬の投与も十分にできない。演習場の近くに治療施設のある普段の訓練時とはまったく状況が違うのに、命を守る備えができていないのです」

 創設60年を超える自衛隊に、初めて「戦死者」が出る事態が、いよいよ現実味を帯びてきているのだ。

 その瞬間を迎えたとき、どうなるのか――。2003年から行われた自衛隊のイラク派遣の際、派遣部隊が現地に棺を持参していたのは有名な話だが、実はさらに踏み込んだプランが極秘に持ち上がっていたという。

「日本武道館を借り切って、総理大臣出席の壮大な国葬を行うことが検討されていたそうです。今後、戦死者が出た場合も、このプランが踏襲される可能性は十分にある。もちろん慰霊の意味もあるでしょうが、戦死者を美化して国威を発揚する側面もあるでしょう。政府は『戦死』をテコに『今の体制が不十分だから戦死者が出た。やはり憲法9条を改正して、国防軍を創設するべきだ』などという宣伝を始めるのではないか」(前出の井筒氏)

 そもそも戦死という言葉すら使われないと指摘するのは、元防衛省幹部で国際地政学研究所理事長の柳澤協二氏だ。

「日本が他国に攻められて個別的自衛権で防衛出動する場合は別ですが、それ以外の戦争は憲法上、しないことになっている。政府としては戦死という言葉は使えず、『公務死』などと表現するのではないか」


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