病院内部のこの動きは、「病院関係者から情報提供があって、はじめてわかった」(男児の父親)という。院内では、≪これは証拠偽造、犯人隠避、名誉毀損(きそん)という卑劣な行為≫といった批判が、病院の幹部にメールで送られている。

 最終的に報告書には多くの矛盾が残された。

「手術直後の深い鎮静状態の記述は、提出された報告書で復活しましたが、別の箇所では医師の証言として≪かなりの体動がみられた≫とあります。私たちは、手術直後から子供に付き添っていて、まったく動いていないことを知っています。カルテにもそう書かれています。しかし、報告書だけが違うことを書いているのです」(男児の母親)

 東京女子医大は本誌の質問に対し、報告書は≪適正に作成されております≫と回答。刑事弁護人が修正を入れたかどうかについては答えなかった。

 男児の遺族は、厚労省と東京都に同病院への再調査と院内調査の厳しいルール作りを求めている。

(本誌・鳴澤 大、永野原梨香、牧野めぐみ、西岡千史、林 壮一、松岡かすみ、秦 正理/今西憲之)

週刊朝日 2015年10月16日号