市がリストを精査して約7100冊を購入したが、一部は発注が直前となって間に合わなかった。この日、記者が確認したところ、疑惑の本は無事、精査されていたようだが、油断は禁物。

「選書トラブルのせいか、新しい図書館なのに、部分的に書架がスカスカで驚いた。武雄みたいに郷土資料など重要なものが廃棄されていないか不安がよぎります」(50代の男性)

 図書館問題に詳しく、内覧会に参加した慶応義塾大学の糸賀雅児(まさる)教授は言う。

「約20万冊を開架書庫に並べ、本との出合いが広がりました。CCCなど民間への委託で、自治体直営の図書館に刺激を与えていますが、どちらかというと、本屋とカフェがメインで図書館は添え物のようにも見えます。ただし、説明がつかない選書ではいけないので、利用者の意見を聴く場を設けて、透明性の高い図書館運営を心がけるべきです」

 9月29日の海老名市議会の委員会では、委託先に支払ったお金の流れが不透明になっていることが判明。傍聴した市民から「市はCCCと住民のどっちの味方なんだ」と、怒号が飛んだ。

「2014年度に図書購入費を含む指定管理費として、委託先に約3億694万円が支払われているが、そのうち9052万円は未執行。単年度予算なので、未執行のお金は市に戻し、他の事業に使うべきだ。いまだに委託先は市に返却せず、市教育長らも『財務部署と相談して対応する』と悠長なことを答弁している。不透明な税金の使い方は許されないので、一刻も早く正さなければならない」(海老名市の飯田英榮[ひでしげ]市議)

 ドタバタ劇はなお続く。

(本誌・鳴澤 大、永野原梨香、牧野めぐみ、西岡千史、林 壮一、松岡かすみ、秦 正理/今西憲之)

週刊朝日 2015年10月16日号