五輪エンブレム再公募も デザイナー「怖くて応募できない」の声

2015/09/09 11:30

 いま待望論が起きている招致エンブレムは2011年に、当時、女子美術大4年生だった島峰藍さん(26)が制作したものだ。

 5色の桜の花がリースになったデザイン。リースには「再び戻る」という意味があり、島峰さんは「東日本大震災で苦しむ日本に活気が戻るよう願いを込めました」。その思いが通じての開催決定だった。現在、大手広告会社で働く島峰さんは「取材お断り」だったが、エンブレムに込められたメッセージは多くの人に浸透している。

 残念ながら、招致エンブレムは無償利用されていて、いまさらスポンサー限定の有償利用にすることはできない。そもそもIOC憲章によって使用が認められていないため、組織委は新しいエンブレム公募の準備を始めている。

 そんな中、1964年の前回東京五輪のエンブレムを推すのは、漫画家のやくみつる氏だ。

「再び選考したところで、類似作品が出てきて、今回と同じ結果になる。そもそも、なぜ前回五輪のエンブレムを使わないのか。明快で格調高く、荘厳。あれを超えるデザインはない。先人へのリスペクトを持ち、2度目開催のメリットを考えていくことが必要だ」

 この意見にうなずくのは、大手広告会社で働くデザイナーの女性だ。数々の受賞歴があり、今回も応募資格があった。だが、

「もう怖くて応募できない。64年のエンブレムで進めるのが誰も傷つかなくていいと思う」

 萎縮してしまったデザイン業界。2020年五輪の成功への道のりは、また厳しくなったようだ。

週刊朝日 2015年9月18日号

1 2

あわせて読みたい

  • 五輪エンブレム 組織委「似てない」と言い張る根拠

    五輪エンブレム 組織委「似てない」と言い張る根拠

    AERA

    9/7

    本当に“サノケン”は悪いのか? 佐野氏悪者説に反論の声

    本当に“サノケン”は悪いのか? 佐野氏悪者説に反論の声

    週刊朝日

    8/27

  • 博報堂→独立 佐野研二郎「俺は普通のデザイナーとは違う」と慢心か

    博報堂→独立 佐野研二郎「俺は普通のデザイナーとは違う」と慢心か

    週刊朝日

    8/27

    新国立競技場、五輪エンブレム問題 森氏、サノケンら主役たちの今

    新国立競技場、五輪エンブレム問題 森氏、サノケンら主役たちの今

    週刊朝日

    12/23

  • 東京五輪エンブレム問題 佐野研二郎氏に足りなかった“マネジメント力”とは?

    東京五輪エンブレム問題 佐野研二郎氏に足りなかった“マネジメント力”とは?

    dot.

    8/25

別の視点で考える

特集をすべて見る

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

カテゴリから探す