「それを聞いて彼の早大ラグビー部監督時代のスローガンだった“アルティメット・クラッシュ”という言葉を思い出しました。圧倒的な勝利、徹底的にたたきのめす、という意味でしたが、やるなら徹底的に、という人なんですよ。長男が野球を本格的にやりだしてから清宮家は引っ越し、今の家の地下ではバッティング練習ができるようになってて、お父さんが息子の練習に付き合っている様子も報じられました。プロ野球選手でもあんな家に住んでるやつはそうそういませんよ。巨人時代の中畑清さんの家の地下なんて麻雀部屋だったんですから(笑)」

 そのコメントのユニークさでも目を引く幸太郎君。大人に対しても自分の意見をしっかり言えるように、という克幸氏の考え方からくるものだ。高校での目標ホームラン数を聞かれると「目標は高いほうがいいので80本」と具体的な数字を挙げ、注目される立場については「これからこういう環境でやっていかなきゃいけない人間だと思っているので、大丈夫です」と言い切った。そして西東京大会の開幕前には先輩の王さんが始球式をすることに対し、「早実が出場しないのは失礼」とのたもうた。

「『頑張ります、とか、当たり前のことを言うな、他の人と違うことを言え、と父から言われています』と本人が言ってました。ビッグマウスにも聞こえますが、トップに立つ人間は自分の意見を言えなきゃいけない、という清宮家の教育なんですよ」(前出の記者)

 メジャーに憧れているという幸太郎君。まずは早稲田大学で野球をする自分をイメージしているそうで、未来予想図は普通に考えれば、早大から日本のプロ野球を経てメジャー、という話になるが、中学生時代に受けたインタビューで、こんなことを言っていた。

「父には、『松井秀喜さんみたいにすごい選手になったら高校からプロになってもいいんじゃないか』と言われてます」

「持っている」親子の第1章が、間もなく始まる。

(ライター・黒田 朔)

週刊朝日 2015年8月14日号