「まぜこぜワイン 一升瓶(赤)」のご紹介
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 でん、と食卓にのる一升瓶の赤ワイン。

 造ったのは、山形県南部の赤湯にある酒井ワイナリーだ。創業は1892年と、東北最古。一升瓶を使ったワイン造りを50年以上続ける。最近まで、日本の小さなワイナリーは、高価なタンクや樽ではなく、一升瓶を用いるところが多かった。密閉性が高く、入手が容易なうえ、繰り返し使えるとあって重宝されたのだ。家族経営の酒井ワイナリーも事情は同じ。貯蔵庫には、ワインが保存された一升瓶がズラリと並ぶ。

 5代目を継ぐ、酒井一平さんが語る。

「うちは、基本的にワインの濾過(ろか)をしていません。一升瓶を立てた状態で保存して澱(おり)などを沈殿させる。そして、上澄み部分を瓶に詰めて販売するのです。けれど、うまみや香りが残る澱を捨てるのは、もったいない。澱といろいろなワインを混ぜて『まぜこぜワイン』を造るようになりました」

 一家4人がそろう食卓で酒井さんは、まぜこぜワインをコップで楽しむ。やさしい味わいは、郷土料理の芋煮が合うそうだ。

(監修・文/鹿取みゆき)

週刊朝日 2015年7月31日号

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