党本部で25日に開かれた勉強会で熱弁をふるう百田氏。声量たっぷりで、非公開でも廊下にダダ漏れだった。向かって左隣は木原氏。今回の失態で1年間の役職停止処分を受けた(撮影/写真部・長谷川唯)
党本部で25日に開かれた勉強会で熱弁をふるう百田氏。声量たっぷりで、非公開でも廊下にダダ漏れだった。向かって左隣は木原氏。今回の失態で1年間の役職停止処分を受けた(撮影/写真部・長谷川唯)

 口は災いのもと、だ。

 安倍晋三首相と政治信条が近い自民党の若手議員が発足させた勉強会「文化芸術懇話会」(代表・木原稔党青年局長)。国民の支持がなかなか広がらない安全保障法制の重要性を若手からも発信し、政権をバックアップするのが狙いだ。

 6月25日の初会合にはゲスト講師として作家の百田尚樹氏(59)が招かれ、37人の議員が出席した。しかし、講演の内容は過激で、国民のさらなる反発を招いてしまった。

 集団的自衛権の行使に賛成の百田氏はまず、「政治家は言葉が大切。もっと選んで国民の気持ちに訴えかけてほしい」と助言。スイスを例に「軍隊を持つことは平和を保つことにつながる」と解説した。

 戦争放棄などを定めた憲法9条については「白人であるアメリカ人が、黄色人種の日本人を二度と刃向かわせないように作ったもの。改正するのは当然」と持論を展開。さらに政府に批判的な沖縄の地元2紙(沖縄タイムス、琉球新報)について「二つの新聞社はつぶさないといけない」と言い放った。

 かたや議員からも「(政府に批判的な)マスコミを懲らしめるには、広告料収入をなくせばいい。文化人が経団連などに働きかけてほしい」といった言論弾圧を求める発言が出る始末。

 ただ、出席議員にマズイという危機感はなく、約1時間の会合は笑いも起こる和やかなムードだったが、翌朝にこの模様がテレビや新聞で報道されると状況は一変した。

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