※イメージ写真 @@写禁
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 新日本プロレスの「闘魂三銃士」の一人として、日本のプロレス界に一時代を築き上げた蝶野正洋さん。若きプロレスラーが武者修行先で出会い、日本へ連れ帰った妻・マルティーナさんは、連れ添って24年。今も公私ともに、夫をバックアップする名セコンドだ。

夫「とにかくけがは絶えなかった。さすがに頸椎(けいつい)を痛めたときは、このまま続けるのは危ないぞと。そのころには彼女がデザインしたものが商品化されたりもしていたから、二人でビジネスを立ち上げることにした。15年前です」

妻「ようやく軌道に乗ってきたところで、家族を持ちたいねってことで、子どもを持ちました。彼は最初、とにかく育児にはノータッチで」

夫「あまりにも小さくて、おっかなくて手が出せなかったんだよ」

妻「2人目のとき、『夫婦二人でケアできるなら、産んでもいい』って言ったんです。そのころから彼は大きく変わりました。先のことを考えない人が、子どもの将来をちゃんと見据えるようになった。生活習慣や約束ごとはきちんと守らせるし、進学のために調べ物をしてくれたりして」

夫「病院とか学校とか、細かい話をしなきゃならない場面では、やっぱり彼女だけでは難しい部分もあるからなるべく付き合うようにしてます。幼稚園へも朝は俺が送っていくし」

妻「運動会には毎回駆り出されるんですよ。とくに綱引き(笑)」

夫「お母さん方がすごいんですよ。力のある大人をどこに配置したら勝てるか、ネットで調べ上げて来る。で、クラスの子が全員、俺みたいなサングラスかけて出てくるんです。小さな蝶野軍団(笑)」

妻「生活のサイクルもがらりと変わったね」

夫「家事はさせてくれない。キッチン汚すからって」

妻「今朝もけんかしました。ドイツ人は夜寝る前には何もかもきれいにして、きちんと片づけるの。それなのに彼は夜中に起き出してお料理して、朝、キッチンがすっごい汚い! 寝る前はピカピカだったのに。きれいにしてコーヒー飲むまで1時間もかかった」

夫「……そばを茹でただけだよ」

(聞き手・浅野裕見子)

週刊朝日 2015年3月27日号より抜粋