個性を爆発させ“ハロプロ感”を演出(撮影/門間新弥)
個性を爆発させ“ハロプロ感”を演出(撮影/門間新弥)

 東大女子がモーニング娘。やBerryz工房など、ハロー!プロジェクト所属のアイドルのコピーダンスをするサークル、東大ハロプロ同好会。リーダーの山下結花さんは言う。

「ももちや矢口など、ハロプロには印象深い小柄なメンバーがいるので、そこに小柄でダンスのうまいメンバーを割り振ることで本家に近づくというか、リアリティーが出せるんです」

 ハロプロ感の演出のための大切な役割を任されているのが、身長150センチ、文学部4年生で夏目漱石『草枕』の世界を研究する物部真由子さんだ。

 木村カエラが大好きなオシャレ系女子。言われてみれば髪形やファッションなどちょっと似ている。ハロ同16人中、いわゆる“ハロヲタ”は3分の1ほど。物部さんも小学生のころ人気だったミニモニ。を知っていた程度で、ハロプロが何を指すのかもよくわからないぐらいだった。

「アイドルかぁ、と最初思ったんですが、ハロプロの、それぞれの個性を強調する見せ方や、泥臭い努力をする姿、そういうところから好きになっていきました」

 ハロ同には、ほかにもソロでキレのあるダンスを披露するメンバーがいる。

「そういうコはAKBには向かない。AKBは個性を消すというか、全員がそろった感じを目指すんです。ソロパートもほとんどないですよね」

 と物部さん。

 中高の部活でミュージカル経験がある。

「そこではダンスもラインダンスとかそろえるものが中心で自分自身が目立つものではなかったので、ハロプロの世界は新鮮でしたね。やるならそこを極めようと思いました」

 いつの間にかユーチューブの再生履歴がカエラを超えるほどになっていた。卒論に追われる日々だが、

「漱石の、文芸家としての理想を求める生き方にひかれます。芸術家なんだな、と。4年生の思い出は、漱石とハロプロしかないです」

 と笑った。

週刊朝日 2015年1月2-9日号