元学研カメラマン瓜生浩氏(80)、元テレビ朝日宮内庁担当記者の神田秀一氏(79)、元侍従職内舎人(うどねり)の牧野名助(もりすけ)氏(88)と長く昭和天皇を近くで見てきた3人が素顔の昭和天皇を語った。司会は元朝日新聞編集委員の岩井克己氏(67)。

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瓜生:子どもさんにも優しかったね。

岩井:入江さんの随筆にも、子ども好きだという記述がありますね。

瓜生:昭和59(84)年。両陛下のご成婚60年を記念して、沖縄の豆記者の子どもたちが、皇居に参内しました。吹上御所と宮殿をつなぐ道に、内苑門があります。そこで、子どもたちが陛下に小さな花束を渡したのです。徳川さんか安楽さんだと思いますが、侍従さんが、後ろから花束を受け取ろうと手を出したんですね。すると、陛下はひじで侍従さんをゴンとやった。ご自分で、花束を持ったまんま、うれしそうに御所にお戻りになった。その場にいた我々、カメラマンや記者も、ほほ笑ましい気持ちになったものです。

牧野:テレビ番組でも子どもたちを気にかけておられました。国体で地方にお出かけになった昭和60年ごろでしょうか。陛下が「セーラはあるか」とおっしゃる。必死で新聞の番組表を探したところ、どうやら「小公女セーラ」というアニメ番組のことをおっしゃっていたとわかりました。「サザエはあるか」とも。

岩井:実録には、はじめて天皇がカラーテレビをご覧になるという記述がありましたね。

牧野:女優の高峰三枝子さんの映画や、昭和62年春から放送されたNHKの連続テレビ小説「チョッちゃん」を昭和天皇は楽しみにご覧になっていました。

神田:宮内記者会が、陛下にどのような番組をご覧になっているのか、と質問したところ、「放送局の競争が激しいから言えない」とお答えになった。ところが、実録にはご覧になった映画の作品名が具体的に載っています。楽しみですねえ。昭和天皇記念館(東京都立川市)には昭和天皇がお使いになった、米国製のRCAのラジオが展示されていた。これには驚きました。

牧野:こんなちいさい古いラジオ。あれは戦中からずっとお使いで、寝室の頭の上に置いてありました。

週刊朝日  2014年11月14日号より抜粋