週刊朝日2014年6月20日号 表紙の二階堂ふみさん
週刊朝日2014年6月20日号 表紙の二階堂ふみさん

 7年前、発売時に読んだ桜庭一樹さんの小説『私の男』を二階堂ふみは、映像化できると思わなかったという。ところが、一緒に仕事がしたいと願い続けた切和嘉監督で映画化の話がきた。父と娘の禁断の愛が描かれ、18歳になるのを待って演じた“運命の役”だった。

「撮影まで1年程あったので、ずっとこの作品が自分の中にあって、心の支えにしながら生きていた感じでした。熊切監督の現場にまず行けるということが、喜びでした」

 紋別の流氷に入るシーンさえも「気持ちよかった」と恍惚とする。「一人の映画人でいられることに嬉しさがありました。監督と通じ合い、浅野(忠信)さんとも役のように濃密な関係を作れたので」

 スクリーンでは貫録さえ漂うが、自分の話になるとあどけない。

「チャリンコに乗ってそこら辺にいます。気づかれないですよ」

 春から大学生になった。専門分野を開拓する場所だから行きたかった。すべての経験が、自分の糧になる。そして、いとおしい映画の世界につながる。 
 
週刊朝日  2014年6月20日号