昨年から京都に移り住み、女優・エッセイストとして活躍する本上まなみさん。作家の林真理子さんとの対談で、司会の仕事について語った。

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林:最近、エッセーや司会、本の話などのお仕事が増えているようですけど、自分で選んでそうなったんですか。

本上:自分からということではなくて、お声をかけていただいたんですが、そういう分野が多くなってきたのは、私にとってはうれしいことですね。子どものころから本を読むのが好きでしたし、本を書く人にいつかなれたらいいなというのが、夢の一つでもあったので。

林:お父さまも書くようなお仕事だったんでしょう?

本上:いまはぜんぜん違うことをやっていますけれども、編集のプロダクションを個人でやっていました。

林:やはりその血を引いているんですね。インタビューや対談のお仕事も、好評じゃなかったら次が続かないはずだから、きっと向いていたんですね。

本上:どうなんでしょうか。以前、NHKの「トップランナー」というインタビュー番組をやらせていただいたときに、「本上は相手がしゃべるのを待っていられる。沈黙を恐れない。それがいいと思うよ」とほめていただいたことはありますけど、ほめられたのはその部分だけでした。

林:「沈黙を恐れない」って、美しい人の特徴かもしれない。

本上:いやいや、そんなことないです(笑)。あの番組は、相手の方がプロとは限らないので、たっぷりとした時間をとっていただいて、だから待てる余裕があったんです。それは私がよかったのではなくて、番組のつくり方がすごく丁寧だったんだろうと思います。

林:でも、インタビューって下調べが大変でしょう。

本上:楽しかったですね。「その人を好きになってください。そうなるまでその人のことを一生懸命知ろうとしてください」と言われて、それは勉強になりました。初対面の方がほとんどでしたから。

林:司会が上手だって定評がありましたよね。そっち方面に興味があったら、編集者の人と結婚なさって。

本上:それはまったく関係ないと思いますけど(笑)。

林:編集者にとっては女優さんって高嶺の花だし、相手になんかしてもらえないと思ってますよね、たぶん。

本上:夫とは仕事を2回一緒にしたことがあって……。

林:インタビューか何か?

本上:はい、そうです。

林:それだけで? ずうずうしいんじゃない?(笑)

本上:それは私にではなく、夫に言っていただいたほうが(笑)。私たちが京都に移ってから、マガジンハウスの人たちは、ときどき関西に来たときにうちに寄ってくれます。今度は泊まりに来ますよ。

林:ほんと? なんで編集者、みんな本上さんにずうずうしいの?(笑)。ふつう、女優さんのうちに編集者が泊まりになんて来ませんよ。まして、編集者で女優さんと結婚できるような、そんな幸せな人って。

本上:お好きですね、その話(笑)。

林:あ、すみません。ちょっとしつこかったな。

週刊朝日  2014年4月4日号