血流に着目した健康法「ふくらはぎマッサージ」がブームになっている。『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』(アスコム刊)は現在65万部突破。著者で鍼灸師の槙孝子さんに、ライターの谷わこ氏が「ふくらはぎマッサージ」のコツを聞いた。

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「下半身には血液の70%が集まっているため、ふくらはぎをマッサージすると全身の血液が良くなります。血流が良くなれば不要なものは速やかに外へ排出され、体温もアップする。ぐっすり眠れるようになり、体はもちろん、肌の調子がみるみる整ってきます」

 ふくらはぎマッサージは1979年、外科医の故・石川洋一氏が考案した。脱水症状を起こした患者に水分などを補おうと点滴したが、なかなか入っていかず、腕は温かいのに足が冷たいことに気づいた。硬くこわばったふくらはぎを重点的にもむと、患者の顔に赤みがさし、点滴が規則正しく落ちるようになった。そこで全身の血流改善を確信したという。

 槙さんは11年前、石川医師から直接マッサージ方法を伝授された。だが、当時はあまりにも簡単すぎて、「本当に効果があるんだろうか」と半信半疑だった。そこで、鍼灸治療に来ていた患者に試してみた。

「効果は歴然でした。みんな体調が良くなって、鍼灸に通ってくる回数が減ってしまったんです」

 と、槙さんは笑う。それ以来、鍼灸をやめ、ふくらはぎマッサージの指導に力を注いでいるそうだ。

 このマッサージの最大の特徴は、道具が必要なく、自分で簡単にできること。ふくらはぎの外側、内側、真ん中の3本のラインを指で押し、ひざ裏のコリコリした部分をもみほぐす。

「ラインは、かかとからひざに向かって押していきます。血液を心臓に戻すことをイメージし、おなかをへこませてゆっくり息を吐きながら、指でぐーっと押す。『ちょっと痛いけど気持ちいい』くらいの強さがベスト。体調によって不快に感じることもありますから、無理せず、さするくらいからスタートしてください。毎日続けることが大事です」(槙さん)

週刊朝日  2014年3月14日号