「引き際は難しい」丸山茂樹がジャンボ尾崎“引退”に思うこと 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「引き際は難しい」丸山茂樹がジャンボ尾崎“引退”に思うこと

連載「マルちゃんのぎりぎりフェアウエー」

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引退への「カウントダウン」を始めた尾崎将司 (c)朝日新聞社 

引退への「カウントダウン」を始めた尾崎将司 (c)朝日新聞社 

 プロゴルファーの丸山茂樹氏は、引退を示唆したジャンボ尾崎氏についてこう話す。

*  *  *
 ついに来るべきときが来たのか。そんな思いを強くしています。

 1月20日、ジャンボこと尾崎将司さん(67)が自身の公式ホームページ上で「カウントダウン」と題した文章を発表されました。

〈私のゴルフ人生で真のカウントダウンが始まった様だ〉

 で始まる長文で、最近のふがいないプレーぶりや成績を嘆き、2014年シーズン限りでの引退をほのめかす内容でした。

〈プライドだけは誰にも負けないと思って人生を歩んで来た私にとって、屈辱的な事である。自分が優位に立つ人生しか知らなかった私が人を見上げてしまう事になろうとは…?〉

〈身体の変化から思い通りに歩めない自分が出てきている。(略)情けないし、寂しいし、と思う日々が多くなっている〉

 結びには力強く、〈終わりが近づいている事に間違いはない。本当にカウントダウンの始まりでもある。しかしながらもう一度、ジャンボ尾崎として何か、しでかしてやりたい!!〉
と書かれています。

 プロ通算113勝のジャンボさんですが、最近は腰や背中の痛みに悩まされてきました。ここ3年は61戦で予選通過が4度だけと、苦戦が続いています。

 たしかに去年はゴルフ場でお会いしても、元気がなかった。話をしてても、昔みたいにギュッと鋭い眼光で見つめられることもなくなったんです。

 それにしてもこの文章を読んで改めて、果てしない夢を追いかけてる人なんだなあ、と思いましたね。

 そりゃあ、僕だっていまも夢をいっぱい持ってやってますよ。でもこの文章を読むと、67歳の言葉じゃないでしょ? まったく弱みを受け入れようとしない。

 そして強がりであったとしても、力強い言葉で締めくくる。これこそが偉業をなす人の発想なのか、と思わせられますよね。

 僕にとってジャンボさんは特別な存在です。何度もぶつかっては、跳ね返されました。とてつもなく高くて大きな壁でした。

 日本の賞金王に最も近づいた1997年も、僕の前に立ちはだかったのはジャンボさんでした。そのうち、日本ツアー94勝のジャンボさんを日本で超えたいと思っても無理。ジャンボさんが敬遠していた米ツアーで活躍すれば、丸山茂樹の名を残せると思い、海を渡りました。そして米ツアー3勝を挙げることができたんです。

 個人的には、僕の中に抱いている「尾崎将司像」を汚されたくない思いがあります。だから、ジャンボさんには去り際もカッコよくいってほしかった。レギュラーツアーにこだわらず、3分の1ぐらいはシニアにも出て、「シニアならまだまだ寄せ付けない」みたいな部分を見せてもよかったんじゃないでしょうか。もちろん、そんなことはおこがましくて意見できませんけど、結局は本当の意味で道を究めるために生きた男だった、ということなんでしょうね。

 僕だって多かれ少なかれ、毎日毎日、ジャンボさんのようなことは考えています。引き際って難しいですよ、ほんとに。 

週刊朝日  2014年2月14日号


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丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表ヘッドコーチを務める。19年9月、シニアデビューした。

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