サッカーライターが語る「日本代表大迫勇也に足りないもの」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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サッカーライターが語る「日本代表大迫勇也に足りないもの」

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「ハンパない」ゴール量産が見られるか (c)朝日新聞社 

「ハンパない」ゴール量産が見られるか (c)朝日新聞社 

 J1鹿島アントラーズFWの大迫勇也(23)にとって、2013年は14年ブラジルワールドカップ(W杯)への道筋が見えた年だった。サッカーライターの田中滋さんが、大迫の人となりに迫った。

午後の練習が終わると、鹿島アントラーズの練習場はすっかり夜の帳に包まれる。大迫は駐車場に止めてある自分の車に向かいながら、無意識のうちに今日も同じ言葉をつぶやいた。

「あー、腹へったー」
 
 少し明るい茶色で染めた髪は、無造作にセットする。市販のスパイクでも気にしない。これぞ豪放磊落。実に薩摩隼人らしい。13年は大きな転機だった。7月の東アジアカップに日本代表として招集されると、オーストラリア戦で2得点。そして11月の欧州遠征ではオランダ戦で先発し、1得点1アシスト。全得点に絡み、同点劇の立役者となった。Jリーグでの活躍もめざましく、12年シーズンの9得点から大躍進を遂げる19得点。鹿島のエースストライカーとして、チームを引っ張った。

 それでも、「まだまだ」と考えている。

「もっとできるはず。海外でああいう相手とたくさん試合をすれば、もっといいプレーができると思う」。大迫は鹿児島城西高校時代から、同世代を代表するストライカーだった。高校選手権では、対戦して敗れた相手が「大迫、ハンパないって!」と泣き叫ぶ動画が、伝説的に知れ渡った。

 飛躍を遂げたとはいえ、日本代表では予選を戦い抜いてきた選手たちに比べ、実績はわずかでしかない。14年6月に控えるW杯に出場するためには、誰にも文句を言わせないぐらいの結果が必要なのだ。

 大迫には忘れがたい経験がある。12年夏、ロンドン五輪。23歳以下日本代表のエースFWとして、予選突破の立役者でありながら、五輪直前にメンバー落ちする屈辱を味わった。だからこそ、ゴールを決め続けなければならないのは、誰よりも知っている。

 W杯で待つ世界の強豪たち。オランダ戦で相手エースであるロッペンが決めたシュートは、いまでも目に焼き付いている。

「あのシュートは空気が変わった。打つ前から『ヤバイ。入る』と思った。ああいう雰囲気を出せる選手は、やっぱりすごい」

 今度は自分が空気を変えるゴールを決めてみせる。いまの大迫は、腹をすかせたストライカーなのだ。

週刊朝日  2014年1月3・10日号


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